約 5,047,646 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/519.html
再誕せし、哀しき神の姫(後半) 人間から逃げ出そうと走り出した“彼女”を、ロッテが抱き留める。 移動中に武装は解除したが、琥珀色の瞳で“彼女”には分かる様だ。 人間である私達に対して程ではないが、少し怯えの色が見て取れた。 「……あたしは、自分の誇りに気付いてそれに従い戦いました」 「はいっ。それは……誇らしくて素敵でしたの、お姉ちゃんは」 「でも、あの人は応えてくれなかった……あたしを“殺した”」 感極まったのか、涙声でロッテの胸板をぽかぽかと叩く“彼女”。 ロッテは言葉もなく、暫くの間自らの胸で泣く神姫を撫でてやる。 落ち着くのを見計らい、クララがそっと挟み込む様に背中を抱く。 物理的に涙を流せずとも、間違いなく“彼女”は泣いているのだ。 「ずっと、あたしはあの人に喜んでほしかっただけなのに」 「その為に痛くても辛くても……我慢し続けたんだよね?」 「……それなのに、あの人は一回も笑ってくれなかった!」 後で分かった事だが“彼女”には愛玩用の改造が施されていた様で、 猪刈めは苦悶の表情を浮かべる“彼女”を、毎晩罵っていたらしい。 それは残酷な嘲笑であっても、優しき微笑では決してなかったのだ。 無論その様な機能はMk-Z氏が取り外してくれたらしい、何よりだな。 「あたし、何の為に今まで生きてきたの……人間が、怖い」 「お姉ちゃん。貴女の中に“誇り”は、まだありますの?」 「ほこ、り……?あたしの、誇り……?あたしの中に……」 「戦いの時、誰かの為に身を呈した“心”は偽物ですの?」 『違う!』と“彼女”は叫び、そして何かに気付き……泣き出した。 例え猪刈が外道であろうとも、彼奴めに尽くしたかった想いは本物。 それが故に、裏切られた事が大きな傷となってのし掛かるのだ……。 「ならもう一度だけ人間を、ううん……神姫を信じてほしいですの」 「……神姫を、信じる?えっと、うんと……神姫を、って貴女達?」 「そう。マイスターを信じているボク達を、信じてほしいんだよ?」 優しく抱きしめ言葉を紡ぐロッテ。背後から抱き寄せるクララ。 二人の言葉で初めて“彼女”は、私・槇野晶を見上げてくれた。 そんな三人を、私は優しく抱き上げて……胸元でそっと暖めた。 「あっ……うんとっ、えっと……お姉さん……?」 「何でも構わん。それよりな、私の所に来ないか」 「あ、あなたのお側に……あたしがですか……?」 「そうだッ。あの様な哀しい想いはもうさせん!」 「で、でも……あなたを信じていいのか、あたし」 “彼女”は哀しそうに、目を伏せて呟いた。それもそうだろう。 マスター登録は解除されているが、それで事が済むわけはない。 だが、ここで口を開いたのは……先んじて引き取られたクララ。 「マイスターは、不具合で戦えないボクを救ってくれた」 「不具合?そんな……えっと、ごめんなさい……あたし」 「謝らなくてもいいですの。お姉ちゃんは何も悪くない」 何か言おうとした“彼女”の唇は、ロッテの指でそっと塞がれた。 決して人間への不信が払拭された訳ではない。またそんな自分が、 人を信じていいのかという迷い。それに私は、誓いを以て応える。 「私がお前達を裏切りし時は、この命果せても訪れぬと知れ」 「え?そ、そんな……そんな大げさな事、言わなくても……」 「いいや、誓いは我が胸とお前……“アルマ”の胸にある!」 「“アルマ”……?それが、あたしの名前……お姉さんは?」 「我が名は槇野晶、マイスターの名に誓い皆と共に在る者だ」 それは、嘘偽りのない想い。命と引き替えにしても、破れぬ願い。 私は3人の“姉”として死ぬ時まで苦楽を共にする為、側に居る。 これはアルマのみならず、ロッテとクララにも改めて誓った言葉。 マイスター(職人)の誇りに賭けて、心より発せられる“契り”だ。 「あ……えっと、ま……マイスター、でいいですか?」 「有無、構わん。これからは私の“妹”だ、よいなッ」 「これから宜しくお願いですの、アルマお姉ちゃん♪」 「……アルマお姉ちゃん、ずっと皆で生きていこう?」 「うんと、はい。皆を一度信じてみる事にします……」 泣き出しそうな笑顔のアルマに、抱きしめるロッテとクララ。 そして、そんな三人が愛おしくてずっと優しく抱きしめる私。 何があろうとも、彼女らの力でいてやろう。私はそう思う!! 「……ありがとうな、アルマや」 「きゃっ!?……あ、あっ……」 そしてロッテにもクララにも行った、額への誓いの口付け。 真っ赤になり応じるアルマが、なんとも可愛らしいな……。 「ええと、うんとっ。みんな、宜しくお願いしますね?」 「はいですのっ♪クララもわたしも、マイスターもっ!」 「帰ったら、いろいろ好きな服を見繕ってやらねばなッ」 「有り難う、Mk-Zさんにマーヤさん……後は田中さんも」 クララに釣られ、私達はそろって助力してくれた人々に礼を言う。 Mk-Z氏は何やら曰くありげに笑っている……恐らくはアレかもな。 「いえいえ。こっちもいろいろ、参考になりますしね?」 「おにーさま、Dr.CTaさんも褒めてくれますよきっと!」 「よーし……それでは帰るか、懐かしき我が家になッ!」 ──────愛しき神の姫に、優しき心の誓いを。 次に進む/メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1851.html
無頼18「ガラクタ置場とある神姫」 雲行が怪しくなってきたある日の空。 私は河原を飛んでいた。 たまには散歩もいいかな、って思った矢先にこれだ。 そして雨が降り出す。 どこかに雨宿りとでも行きますか。 そう思って旋回しようとしたら、あるものが目に映った。 ガラクタだらけのスクラップ置場。 気がついたら、私はそこに向かっていた。 ~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~ 早いうちに環境改善に乗り出したこの町には、酸性雨は降らない。 でも、最近は近辺の工場で発生した事故が原因で有害物質が紛れ込んでいるという。 それを警戒するのは当然である。 濡れた前髪をかき分けると、声がした。 「ジュラさんじゃないですか」 ふり向くと、バイクの部品らしきものを持ったジーナスが立っていた。 「奇遇ね。…あなたも雨宿り?」 聞くとジーナスは少し笑いつつ一言。 「いえ、ガラクタ漁りですよ」 …… 降り続く雨。 まるで永久(とわ)に続くかのように、どこまでも降り続ける。 「なにかお目当ての物でもあったの?」 バイクの部品を見ればだいたい見当はつくけど、一応は聞いてみた。 「ええ。この前ここを通った時に、使えそうなオートバイを見つけたので」 そういいつつ、奥から古ぼけたバイクを押してきた。 見た感じ、かなり古い型のようだった。 セルモーターがついてない証拠として、イグニッションキーがなくキックスターターが内蔵されていた。 「やっぱりバイクは欲しかったんですけど、すごく高いですからね」 神姫用のバイクは高い。 たとえ1/12でも普通のバイクと同等の値がつくのだ。 「さすがに一部の部品は、買ってもらうしかないみたいですけど」 そういって、ちょっと暗い顔をした。 …バイクのヘッドライトが、鈍く光を反射している。 暗闇から救い出されたのを、喜ぶかのように。 「……なんだか、そのバイク見てると思いだすなぁ…」 「?、なにをですか?」 ふともらした言葉に、はてなマークを浮かべるジーナス。 「昔のこと。…聞きたい?」 ちょっと聞いてみた。 「はい、ぜひ聞かせてください」 答えはすぐに返ってきた。 正直、この事を話すのは少し抵抗がある。 でも、たまにはこういう話もいいかもしれない。 「えーっと…、たしか…」 ~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~ そう…だいたい1年前だったかしら。 私がこの世に生を受けたのは。 どこにでもいるサンタ型神姫、それが私。 私のマスターは、どこにでもいる少年だった。 「えっ? ジュラさんのマスターって長瀬さんじゃなかったんですか」 「せかさないで。んーっと…」 私のマスター…―記憶がとんで、もう名前を思い出せないけど―は、友達のいない一人っきりの子だった。 とてもやさしくて、心の澄んだ人だったわ。 …お世辞にも、顔はよくなかったけど。 あと、やさしすぎる性格仇になってたのかな。彼は学校でいじめに遭っていた。 形人君たちの学校とちがって、常にピリピリしてたみたい。 マスターは時々ボロボロになって帰ってきては、破かれたノートの内容を新しいノートに書き写していた。 教師たちは、この事をなかば黙認していたみたい。面倒だから。 「そんな…」 「私から見れば、形人君は温室育ちの世知らず。あの人はそこらの木の上で育った弱者ね」 ちょっと、言いすぎたかしら? 両方の意味で。 ジーナスの目にはうっすら涙が浮かんでいるような気がした。 「…続けてください、何があったんですか?」 そんな彼の数少ない心の支えが、彼の母親と私だった。 父親はロボット嫌いで、そいつの単身赴任中に私は買われた。 そんなにひどいのかと母親に聞いたら、「見つかったら壊されて捨てられる」と言われたわ。 それでも、私とマスターはしあわせな日々を送っていた。 笑い、泣き、そして愛しあった…。 「愛しあった?」 「そ。あーんな事やこーんな事を、実際に」 そういって、大きい棒を抱きかかえるフリをしながら、舌を出した。 「……!?!」 理解したらしく、顔を真っ赤にして頭をかかえだすジーナス。面白い反応ね。 ~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~ でも、その時間はアッサリ崩壊した。 そして、"今の私"の時間が流れだす。 全ては、私が眠っている間に起こった。 だからどうなってたかは知らない。 気付いた時には、暗いカゴの中だった。 「…って、その状況は一体…?」 「今からいうのは推測よ、あくまで」 たぶん、何かの所要で急に帰ってきたと思う。 そして、私を見つけてどこかへと売り払った。 「…こんな事、思い当たらないほうが不思議だわ」 「リセットなしに売り払う…!? そんな事が可能なんですか?」 「「里親を探すリサイクルショップ」、最近流行ってるじゃない」 ジーナスはその言葉をうけて、少し苦い表情をした。 "里親を探すリサイクルショップ" その人にとって不必要、もしくは一緒にいられなくなった神姫を、リセットせずにそこに売却するのだ。 しかし、そこで待っているのは天国か地獄。 今ジーナスが思い出した事は、この町の外で起きた事件だと容易に想像できる。 2週間前、ある男が逮捕された。 そいつは盗品、もしくはリサイクルショップで買い取った神姫を、自分の神姫に虐殺させていた。 家じゅうトラップとセンサーだらけ、家宅捜索時には大量の神姫の残骸が発見されたとか。 ちょっとした事―どこにでもある意見の対立―でそこに投げ出された神姫が、生還して真実を伝えた。 今はあるセンターで名を馳せる"拳銃使いの悪魔"である。(あるオーナーと神姫参照) 「私は、彼女より運が悪かったみたい」 私が引き取られた先は、なんと裏業界! ロボット工学三原則を守っていたら、すぐに屍となりそうな所よ。 オーナー名義は私のマスターのまま―どうやら使い捨てにする気だったらしい―私は宴に駆り出された。 手に持たされたのはリアルバトル用を超過する威力の武装、コイツで殺しあえってね。 「その場に居る人間、皆殺しにしてやったわ」 「…それで?」 私は、同じ境遇の子たちと一緒に抜け出したわ。 マスターを殺された"猛獣たち"が追いかけてきて、散り散りになっちゃったけど。 ~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~ どこまで飛んだかわからない。 ただ、少しでも遠くに飛んだ。 「ひどくつらい体験だったわ」 カラスの群れに襲われるわ、ノラ犬にかみ殺されそうになるわ、季節外れの台風に弄ばれるわ…。 台風に遭った時にコンパスが壊れて、どっちの方角に飛んでるか判りづらくなった。 それでも、マスターからどんどん遠ざかっている事だけは分かったけど。 気付いたらこの町の、このガラクタ山に身を潜めていた。 バッテリーは切れる寸前、右腕がちぎれ飛んでもう飛べもしなかった。 さらに頭を損傷した時に記憶が破損したらしくて、マスターの名前を思い出せなくなっていた。 「神様はずいぶんむごい仕打ちをしてくる」、そう思ったわ。 誰にも知られず、気付かれずにこのまま朽ち果てていくのか。その時ね、覚悟を決めたのは。 その日は今と同じ、雨の日だったわ。 動けない私を、ガラクタから滴り落ちる雨水が濡らしていった。 ふと、気付けば夜になっていた。 正確な時間は、午後8時27分。 その日は、12月24日。 ガラクタの隙間からのぞく星空が、目に焼きついた。 死を覚悟していたのに、急に死にたくなくなって声を出して泣いたわ。 でも、無慈悲にもバッテリーはあと1分で完全に消耗してしまうと出ていた。 そうなれば、私はこのままガラクタの仲間入り。…いや、もうなっていたわ。 星に、…一度は文句を言った神様に願ったわ。 「奇跡を起こしてください」と。 本当は、サンタクロースである私が奇跡を起こすべきなんだろうけど。 「でも、最後まで言う前にバッテリーが切れたわ」 そのまま、私の意識はぶっつり途絶えた。 ~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~ 「気がついたら、神姫センターのメンテナンスショップにいたわ」 もう見れないと思っていた明るい蛍光灯の光。 私の体は新しいものに交換されていた。 最初に私に話しかけたのが、ラスターだったわ。 『気が付きましたか? よかった』 はじめは「お迎えが来たのか」と思ったけど、ラスターに手を握られて現実の事だと理解したわ。 『マスター! あの子が目覚めましたよ!』 次に姿を現したのが祁音、今よりも髪が短かったわ。 『気分はどうだい? 名前を言えるかい?』 どこにでもいそうな優男、第一印象はそれね。 『私は…』 おぼろけの記憶から、何とか自分の名前を思い出したわ。 『ファウンド』 …… あれからも、色々あったけどそこは省略させてね。 結果的にいえば、私はすでに存在しないはずの神姫になってた。 シリアルナンバーから問い合わせたんだけど、データが消去されてたらしいの。 「まあ、人殺しだしね」 「さらっと言われると、むしろ安心してしまいますね」 私はどこからきたのかも、記憶データ破損時に判らなくなっていた。 もう、記憶の中にしか「あの人」存在しない。 私は一人ぼっち。 その私を「ジュラーヴリク」として引き取ったのが祁音。 まあ、彼から託された"任務"は今までの体験にくらべたらまともだしね。 その事も省略、長くなっちゃうからね。 「…すごく波乱万丈な経験をされているんですねぇ」 「まあ、ね」 …… (BGM:Gentle Jena「planetarian ~ちいさなほしのゆめ~」より) 雨は、やんでいた。 夕暮れが近づいてきている。 そして、少しずつ星が見え始める。 「そろそろ帰った方がよさそうですね」 「ええ、雨もやんだ事だし」 「あ、いたいた」「ジーナス!」 堤防から歩いてくる人影。 形人君とヒカルだ。 「ジュラ、君もいたのかい?」 「ええ、雨宿りにね」 話した内容はむろん秘密、こっそりジーナスに言った。 「ジュラさんはどうするの?」 「私は一人で帰れるわよ、もちろんね」 もう、帰る場所を忘れはしない。 ぜったい、忘れたくない。 …… 私は、そのまま日が沈むのを待った。 やがて、月と星空があたりを覆う。 町の明かりにまけないほどの、美しい無窮のきらめき。 「マスター…。いつかまた、会えるよね?」 星空にむかって、私は呟いた。 祁音たちがむかえにくるまで、私はずっとガラクタ山の上で星空を見上げ続けていた。 END 流れ流れて神姫無頼に戻る トップページ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/707.html
晴れの舞台へと──あるいは内職業 “鳳凰カップ”への参加を決めた私・槇野晶だが、少々ピンチだッ! のっけから怒鳴りつけて済まない。だが、欲張るべきではなかった! レーダーリボンに帽子、ジャケットとスカート、ベストとブラウス。 更にアンダーやネクタイ、コードタイなど……品数が多すぎるのだ。 いずれも各々50個程と搾ったのだが、それでも家内制手工業の身だ。 「こ、これで開催までに間に合うか葵ッ?!レーダーリボンは?」 「ここまで241個動作確認が終わってますのッ!もう少しッ!」 「コードタイの強化ワイヤーは、強度試験は済んだかアルマや?」 「え、えっと……こっちは全数強度試験クリアです、エラー0!」 「梱包作業の準備はどうか、クララや?……よし、箱はOKだな」 運悪く“HVIF”当番だったロッテ……葵をも動員して、下準備は 本日24時間全てを使い、突貫作業で行っている。ロッテのバトルに 注意を払いすぎ、肝心の出品物が展示品の作成で止まっていたのだ。 しかも私の“職人気質”が災いし、品数はトータルコーディネイトを 出来る程に……事実上の“春の新作”レベルにまで達してしまった! 「く、これなら“和三盆”の様に割り切ってシンプルに……嫌ッ!」 「その意気ですのお姉ちゃん。お姉ちゃんは、拘ってこそですの♪」 「すまんな葵。それにアルマとクララ……火が付くと止まらぬのだ」 しかもこれらは全て、色調が白黒を初めとして3~4種類も存在する。 万一“Electro Lolita”の最高級モデルで使うレース加工をしていたら 恐らく4月を過ぎても、製作業は終わらなかったかもしれんな。有無。 この点に関しては、“量産を見越した”デザインにしておいて正解だ。 だが、決して手抜きではないぞ。“和三盆”のシンプルな美と違って、 私は“Electro Lolita”としての複合的な美と、機能性を追求したッ! 「それでも今回の“フィオラ”は、割とシンプルにしたのだがな」 「確かに、レース生地や装飾が大分省かれていますの……なのに」 「うん。なのに“Electro Lolita”らしい可愛さはそのままだよ」 「それでいて、防弾・防刃効果を持っている素材……凄いですね」 「“和三盆”を着て、戦うに赴く神姫も多いと聞く。対抗心だな」 “フィオラ”……花畑を意味する銘を冠したこの“鳳凰杯限定品”は、 量産性を考慮しつつ、“Electro Lolita”で培った私と三姉妹の感性を 最大限活かして、『華の如く可憐である』コーディネイトを目指した。 更に三姉妹の戦闘経験も生かし、防御力を与え……尚克、どの神姫でも 着られる構造とした。マイスター(職人)の拘りを棄ててはいないのだ! 「でもマイスター……生産性は“和三盆”に、遠く及ばないんだよ」 「お値段も、他の“Electro Lolita”より2割安程度ですねぇ……」 「まあ……私の技術と事業規模に拘りを加味すると、ここが限度だ」 「それはしょうがないですの。その分、品質は素晴らしいですし♪」 その通り。服飾としての品質と、戦闘備品としての能力。この両立こそ “フィオラ”のキモであると言えよう。布地の防御効果は前述したが、 ネクタイ及びコードタイも強化ワイヤー製であり、護身用武具になる。 更に装飾用リボンの中央部には、超小型のレーダー素子を組み込んだ。 この辺は、クララの戦闘経験が主な開発材料となっているのだ。有無。 「それでいて軽量……まあ、色々詰め込んだ結果お前達に……ムグ?!」 「お姉ちゃん、それは言わないお約束ですの♪ですよね、二人ともッ?」 「そうだよマイスター。ボクらは望んで、各種お手伝いをしているもん」 「うんと……少しでも“姉妹達”に、綺麗な格好をしてほしいですから」 「くぅッ。お前達……有り難うな、終わったら一杯遊ぼうじゃないか!」 あまりの健気さに涙が出そうになる、がここは我慢だ。今は早く 出品物を全て仕上げて梱包せねばならんッ!!そうでなければ、 前日になってから皆で徹夜する等と言うハメにもなりかねない。 私達は役割こそ違えど、あの会場で“人様に見てもらう”のだ。 その準備時間、仮にも女子である以上……余裕が必要であろう? 「はいッ!」 皆の快諾を取り付け、私も作業に没頭する。ロッテの戦闘準備もあるし 今は多少根を詰めてでも、時間的余裕を作らねばならない局面なのだ。 全ては、私達を見に来る“全ての人々”を失望させず満足させる為に! 「よし、ベストは全てチェック終了。ヨレも汚れもないぞッ!」 「えっと、帽子の形状も全部問題なしですっ!クララちゃん!」 「梱包準備は完了してるんだよ、手の空いた人から手伝ってね」 「レーダーリボン、全機機能正常!じゃあ、手伝いますのッ♪」 ──────舞台に立つには、下積みも重要だよね? メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/587.html
叡智を刃に、想いを力に(前編) “かまきりん”と称されていたフォートブラッグは、本人の意思によって 外道・猪刈久夫の手を離れ、今は私のスーツケースで眠りに付いている。 前回の事もあった為か、それを咎める者は誰もいなかった。まあ恐らくは 彼奴めの事だ。懲りもせずに再び神姫を虐げるのだろうが……今はいい。 偽善だろうが見栄だろうが、私達に出来る事をしただけだ。悔いはない。 「さて……騒がしかったが、これでクララのバトルも出来るか?」 「そうですの。今日はアルマお姉ちゃんだけじゃないですのッ!」 「頑張ってくださいね、クララちゃん?あたし達、応援しますッ」 クララにも専用の“Heiliges Kleid”と変身道具の“W.I.N.G.S.”を 装備させてやる。その腰はやはり、他の“姉達”と比べ些か寂しい。 彼女に欠けている物……普段から全形態で使う為の、彼女の武器だ。 銘だけは既に“ヘル”と決めているものの、試行錯誤が続いていた。 白兵でも射撃でもない非消耗品の武器。これは意外と難しいのだぞ? 「……うん。ボクも“戦乙女”の名に恥じない戦いをしてくるもん」 「その意気だ。お前には“魔術”がある、さあ蹴散らしてこいッ!」 『槇野晶さん、バトル開始時刻です。オーナー席に付いてください』 館内アナウンスが響く。私はエントリーゲートにクララをセットし、 見届け人のロッテと戦い終えて着替えたアルマを肩に、座席に着く。 今回の対戦相手は……見た事がない、切れ長の目を持つ男性だった。 「“アラクネー”。相手は初陣の様だが、手加減するな?」 「嗚呼、分かっているよ……今日も某の仕事をするだけだ」 男の神姫は、市場へ滅多に出回らず“ヴァーチャル神姫アイドル”とさえ 言われる幻の武装神姫、フブキタイプだった。見るのは初めてでないが、 彼女が“忍者刀・風花”も“大手裏剣・白詰草”も持たんのは初めてだ。 その姿も、どちらかと言えば“忍”というよりは現代の“スパイ”だな。 もっと装備の確認をしたかったが、ウェアラブルPCでの分析よりも早く “アラクネー”と呼ばれる神姫は、エントリーゲートに入ってしまった。 『クララvsアラクネー、本日のサードリーグ第36戦闘、開始します!』 そして、幻影の戦場が姿を見せた。舞台は……高層ビルとその周辺か。 ビルの外に出て戦う事も、ビルの狭い部屋を利用して戦う事も出来る。 今回のクララには都合の良い舞台と言えた……む、会話が聞こえるな。 「某は躊躇せず、そなたを木っ端微塵に“解体”する。覚悟は良いか?」 「……戦いに望む時から、ボク達は何時でも戻れない覚悟をしているよ」 「大した度胸だ、あるいは怖い者知らずか……どちらでも構わないかな」 「戦いってそういう物だもん……さあ、“態度”でお互い見せようよ?」 愉快そうに一息笑うアラクネー。移動型のカメラが二人の対峙を映す。 そこは、少し広めの会議室。その両端で、お互い睨み合っている様だ。 先に動いたのはスーツ姿の“アラクネー”であった。その指には……! 「某の名は“女郎蜘蛛”アラクネー!名の力、とくと知れ!」 「!?……高速で、部屋の壁面を蹴って移動している!!」 「まずは此方から往くぞ……丸腰のハウリンッ!!」 「ッ!?……糸?」 トリッキーな動きで飛びかかるアラクネーを、間一髪で避けるクララ。 だが彼女の髪が数本、はらりと床に落ちる。その軌道には……鋼の糸。 それが“蜘蛛の糸”の如く壁から、クララを切断しようと伸びたのだ。 厳密にはワイヤーのリールは、アラクネーの手中に幾つもあったがな。 「どうした、止まっていると死ぬぞ!?……ふっ!!」 「させない……ッ!?パイプ椅子が、こんな簡単に……!」 「チタン粉をコーティングした“斬鋼糸”だ、その程度」 「“斬鋼糸”……それが貴女の武器であり、名の由来」 素早く背後を取るアラクネーに向けて、私服であるコート姿のクララは パイプ椅子を盾代わりに利用した。御陰で首が飛ぶのは免れたものの、 スチール製のパイプ椅子は火花を散らして細切れに!……恐ろしいな。 「丸腰で戦場に叩き込むとは、そなたの主も鬼畜だな」 「……この姿ならまだ、でもボクには“力”がある」 「何?……ッ!こ、これは……先程のアレか!?」 言い放ち瞑目するクララ。その胸が、耳が、背中が……鮮やかに輝き、 幾重ものラインが、アルマの時と同じ様に“聖なるドレス”を形取る! どうやら先程のアルマを見ていたらしく、アラクネーも行動を起こす! 『“W.I.N.G.S.”……Execution!』 「……ふん、ただ丸腰という訳でもなかったか」 “姉”のドレスとほぼ同形状の、鋼鉄の衣をまとったクララ。 カラーパターンとその“腕”以外は、同じ性能・同じ素材だ。 そしてクララの腕には、16本の“柄”が下部に生えていた。 「貴女がトリッキーな手を使うなら、遠慮はしないよ」 「そうか、だが見てみろ。そなたは“蜘蛛の巣”の直中だ」 対するアラクネーは、数秒の“変身”の隙を突き“罠”を……って そうか、これかッ!!と、感心している場合でもないな。クララは 精緻な技術を以て編まれた“蜘蛛の巣”に、周囲を囲まれていた。 だがクララは冷静に部屋中を見渡し、アラクネーと対峙したのだ。 「動けばその鎧ごと斬り裂く。動かずとも、急所を穿つがな」 「……固定箇所、64。固定方法、チタン製のアンカーボルト」 「ッ!?……出来るだけ読まれぬ様に編んだのだが、やるな」 だがどうする?とワイヤーを向けるアラクネー。後で知った事だが、 このアラクネー……所詮サードリーグとは言え上位に属するらしい。 それ程の手練れ相手、普通の神姫ならば今頃はバラバラだったろう。 だがそんな強敵を前にしても、クララは冷静沈着に“柄”を抜いた! 「苦無?いや、ダガーか……だがそんな物で何になるか」 「……“蜘蛛の糸”を断ち切る、菩薩の手になるんだよ?」 ──────解けない数式だって、この娘は解いてみせるよ。 次に進む/メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/busou_bm/pages/100.html
敵神姫装備 敵神姫装備(LOVE20後) 敵神姫装備(公式シングル) 敵神姫装備(公式タッグ) Fバトル予選他 大会 1戦目 2戦目 3戦目 ダブルフロント復活祈願杯 吉川素子 南部蒼太 陰陽熊 アローズ フレンダー ファム トゥインクルバトンシュラム・RGランチャー銀のスプーンスクール水着 Zel L・R/Sライフルシルバーストーン吠莱壱式スクール水着 吠莱壱式ビーハイヴ+msP・A・R ショットガンスクール水着 ホワイトブリム杯 ダリル・ブレナン 吉川素子 得川義文 ドロシー アローズ 葛葉 ダブルレイブレードシルバーストーンくろがねのドリルメイドさんカチューシャメイドさんハーフエプロンメイドフリルスカートメイドニーソックス黒のパンプス トゥインクルバトンシュラム・RGランチャー銀のスプーンメイドさんカチューシャメイドさんハーフエプロンメイドフリルスカートメイドニーソックス黒のパンプス バルムンクジャマダハル"シェルブレイク"PBメイドさんカチューシャメイドさんハーフエプロンメイドフリルスカートメイドニーソックス黒のパンプス ネイビースター杯 軍曹 吉川素子 春夏冬 三等兵 アローズ あきな フルストゥ・グフロートゥZel L・R/SライフルBKピストルセーラー服プリーツスカートルーズソックスローファー茶 トゥインクルバトンシュラム・RGランチャー銀のスプーンセーラー服プリーツスカートルーズソックスローファー茶 エアロヴァジュラOS-36 AカービンExココレットセーラー服プリーツスカートルーズソックスローファー茶 セーラー服とマシンガン杯 豪徳寺みか 立花茂 麻呂 まりぃ 銀千代 雛鶴 アイゼンイーゲル黒+CGヘルゲートブラスター鉄耳装セーラー服裂拳甲+衛袖+GCプリーツスカート天舞靴KT36C1キャットテイル+GCフローラルシールドピンク+BK アイゼンイーゲル黒+CGアイゼンイーゲル銀頭甲・咆皇+GCセーラー服手甲・拳狼+腕甲・万武+GCプリーツスカート脚甲・狗駆+GCKT36D1ドッグテイルPRS・FATEシールド黒ぶちメガネ アイゼンイーゲル黒+SK-9サブマシンガンプリンセスクラウン+BKセーラー服淑女の手袋白+BKプリーツスカートOSY010 Aガード+GCMU"ジェリーmk2"OSYアームガード+GCイヤリング(スター)
https://w.atwiki.jp/anime_wiki/pages/11194.html
武装神姫 Blu-ray ~マスター大好きBOX~ 「武装神姫」原案イラスト集 LEGENDS Vol.01 島田フミカネ 発売日:7月12日・10月31日 コナミのアクションフィギュアシリーズ「武装神姫」のアニメ化作品 全13話のBlu-rayボックスがお買い求めやすいプライスで発売決定! ●「IS〈インフィニット・ストラトス〉」の菊地康仁監督/ エイトビットによる「日常系バトルストーリー」。 ●TV未放送話を含む全13話収録(7枚組)。 ここを編集 2012年放送。Amazonインスタントビデオが配信開始。2017年7月12日、廉価版Blu-rayBOXが発売。 http //www.tbs.co.jp/anime/busou/ 監督 菊地康仁 シリーズ構成 横谷昌宏 キャラクターデザイン 岸田隆宏、江畑諒真 総作画監督 江畑諒真 神姫デザイン 浅井真紀、島田フミカネ、羽音たらく、柳瀬敬之、kem、間垣リョウタ プロップデザイン 高橋裕一 コンセプトデザイン 鎌田誠、石垣李枝子 美術監督 加藤恵 美術設定 青木薫 色彩設計 村上智美 撮影監督 荒幡和也 CGIアニメーションディレクター 井野元英二 CGチーフ 佐藤号宙 モーショングラフィックス 笹倉逸郎 CGモデリングチーフ 中橋一幸 CGモデリング 近藤はるか 特殊効果 海鉾重信 編集 木村佳史子 音響監督 飯田里樹 音響効果 出雲範子 録音調整 土屋雅紀 録音助手 砂庭舞 音楽 織田哲郎 アニメーション制作 エイトビット 脚本 横谷昌宏 いちば絲 竹内利光 絵コンテ 菊地康仁 福田道生 寺東克己 祝浩司 松田清 まついひとゆき 山本裕介 演出 大野和寿 祝浩司 江上潔 登坂晋 かわこしたかひろ 松田清 根岸宏樹 花井宏和 米田光宏 作画監督 江畑諒真 江森真理子 金田弘子 梶浦紳一郎 実原登 高橋裕一 原修一 徳倉栄一 山村俊了 丸藤広貴 大原大 西岡夕樹 桜井正明 山本真嗣 関口雅浩 入江篤 Amazonインスタントビデオ 武装神姫 Ep. 1 "第1話 大切なもの見つけました。" 監督 菊地康仁 再生時間 0時間24分 初公開日/初回放送日 2012年1月1日 提供 バンダイチャンネル ■関連タイトル 廉価版 武装神姫 Blu-ray ~マスター大好きBOX~ 「武装神姫」原案イラスト集 LEGENDS Vol.03 CHOCO 「武装神姫」原案イラスト集 LEGENDS Vol.02 BLADE 「武装神姫」原案イラスト集 LEGENDS Vol.01 島田フミカネ 武装神姫 Blu-ray BOX Blu-ray 武装神姫 1 武装神姫アーカイブ2 TVアニメVer. 武装神姫キャラクターソング OPテーマ 阿澄佳奈、茅原美里、水橋かおり、中島愛/Install x Dream 武装盤 EDテーマ azusa/太陽のサイン 神姫盤 TVアニメ 武装神姫 オリジナルサウンドトラック アーンヴァルMk.2 テンペスタ フルアームズパッケージ フブキ弐型 ミズキ弐型 ヴァイオリン型MMS 紗羅檀 アーンヴァル Mk.2 テンペスタ ストラーフ Mk.2 ラヴィーナ 小説 陸凡鳥・秋谷有紀恵・亀谷響子/武装神姫 LOST DAYS 武装神姫アーカイブ コミック 井原裕士/武装神姫ZERO 1 コミック BLADE/武装神姫2036 1 武装神姫マスターズブック 武装神姫magazine vol.1 特集 島田フミカネの世界 電子世界の武装神姫 画集 島田フミカネ Art Works フィギュア・ホビー:武装神姫 PSP 武装神姫BATTLE MASTERS Mk.2 PSP 武装神姫バトルマスターズ コナミ ザ・ベスト rakuten_design= slide ;rakuten_affiliateId= 053df7e0.7c451bd1.0c852203.190c5695 ;rakuten_items= ctsmatch ;rakuten_genreId=0;rakuten_size= 468x160 ;rakuten_target= _blank ;rakuten_theme= gray ;rakuten_border= on ;rakuten_auto_mode= on ;rakuten_genre_title= off ;rakuten_recommend= on ; 随時更新! pixivFANBOX アニメ@wiki ご支援お待ちしています! ムック本&画集新刊/個人画集新刊/新作Blu-ray単巻/新作Blu-ray DVD-BOX アニメ原画集全リスト スタッフインタビューwebリンク集 最新登録アイテム Switch ゼルダの伝説 Tears of the Kingdom Switch 世界樹の迷宮Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ HD REMASTER Switch ピクミン 4 大友克洋 Animation AKIRA Layouts Key Frames 2 小説 機動戦士ガンダム 水星の魔女 1 ONE PIECE FILM REDデラックス・リミテッド・エディション 4K ULTRA HD Blu-ray Blu-ray 劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ 完全生産限定版 Blu-ray 映画『ゆるキャン△』 Blu-ray 【コレクターズ版】 Blu-ray ウマ娘 プリティーダービー 4th EVENT SPECIAL DREAMERS!! Blu-ray 天地無用!GXP パラダイス始動編 Blu-ray第1巻 特装版 天地無用!魎皇鬼 第伍期 Blu-ray SET 「GS美神」全話いっき見ブルーレイ Blu-ray ソードアート・オンライン -フルダイブ- メーカー特典:「イベントビジュアル使用A3クリアポスター」付 ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 5th Live! 虹が咲く場所 Blu-ray Memorial BOX 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち Blu-ray BOX 特装限定版 地球へ… Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 神風怪盗ジャンヌ Complete Blu-ray BOX HUNTER×HUNTER ハンター試験編・ゾルディック家編Blu-ray BOX BLEACH Blu-ray Disc BOX 破面篇セレクション1+過去篇 完全生産限定版 MAZINGER THE MOVIE 1973-1976 4Kリマスター版 アニメ・ゲームのロゴデザイン シン・仮面ライダー 音楽集 テレビマガジン特別編集 仮面ライダー 完全版 EPISODE No.1~No.98 MOVIE リスアニ!Vol.50.5 ぼっち・ざ・ろっく!号デラックスエディション ヤマノススメ Next Summit アニメガイド おもいでビヨリ アニメ「魔入りました!入間くん」オフィシャルファンブック 『超時空要塞マクロス』パッケージアート集 CLAMP PREMIUM COLLECTION X 1 トーマの心臓 プレミアムエディション パズル ドラゴンズ 10th Anniversary Art Works はんざわかおり こみっくがーるず画集 ~あばばーさりー!~ あすぱら画集 すいみゃ Art Works trim polka-トリムポルカ- つぐもも裏 超!限界突破イラスト&激!すじ供養漫画集 開田裕治ウルトラマンシリーズ画集 井澤詩織1st写真集 mascotte 鬼頭明里写真集 my pace 内田真礼 1st photobook 「まあやドキ」 進藤あまね1st写真集 翠~Midori~ 声優 宮村優子 対談集 アスカライソジ 三石琴乃 ことのは 亀田祥倫アートワークス 100% 庵野秀明責任編集 仮面ライダー 資料写真集 1971-1973 金子雄司アニメーション背景美術画集 タローマン・クロニクル ラブライブ!サンシャイン!! Find Our 沼津~Aqoursのいる風景~ 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会[復刻版] 梅津泰臣 KISS AND CRY 資料集 安彦良和 マイ・バック・ページズ 『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』編 氷川竜介 日本アニメの革新 歴史の転換点となった変化の構造分析 Blu-ray THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th Anniversary Celebration Animation ETERNITY MEMORIES Blu-ray おいら宇宙の探鉱夫 ブルーレイ版 Blu-ray 映画 バクテン!! 完全生産限定版 アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~ Blu-ray BOX 初回生産限定版 はたらく細胞 Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 Blu-ray 長靴をはいた猫 3作品収録 Blu-ray わんぱく王子の大蛇退治 Blu-ray 魔道祖師 完結編 完全生産限定版 魔道祖師Q Blu-ray Disc BOX 完全生産限定盤 にじよん あにめーしょん Blu-ray BOX 【特装限定版】 Blu-ray 鋼の錬金術師 完結編 プレミアム・エディション Blu-ray付き やはりゲームでも俺の青春ラブコメはまちがっている。完 限定版【同梱物】オリジナルアニメ Blu-ray「だから、思春期は終わらずに、青春は続いていく。」
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/964.html
武装神姫のリン 鳳凰杯篇 その1 「…すみませんが、終わりにさせて頂きます」 アングルブレードが相手のマオチャオの武装腕部を切り落とし、強烈な後ろ回し蹴りを放つ。 壁に激突したマオチャオは遂に沈黙。 リンの予選突破が決定した。 「リン、お疲れ様」 筐体から出てきたリンにパックジュースを渡す。もちろん神姫サイズだから指先でつまむような感じだが 「ありがとうございます。さすがに4連戦は疲れました」 「公式戦より1試合のインターバルが短かったからな~仕方ない。まあ今日はこれで終りだから大丈夫だろ?」 「はい、もちろんですよ。」 リンを肩に乗せてオーナールームを出る。 「リンちゃんに亮輔もお疲れ様~」 入り口付近で茉莉がティア、花憐を連れて待っていた。手作りの弁当を持って。 ==== 「さて、予定通り?に決勝リーグ進出だけど次の相手は誰なの?」 みんなで弁当を食べていると茉莉が聞いてきた。 「えっと…抽選ですから誰が相手になるかはまだわかりませんね。」 「そうなんだよな、あの『ルシフェル』と当たったりしたらまず勝ち目が無いだろうしな~」 「…そんな弱気な亮輔は好物のから揚げ没収~」 ひょい、と茉莉の箸が伸びてきて俺の小皿に乗ったから揚げを持っていった。 「あ!!!」 そしてそのまま茉莉の口へ、それが最後の1個だったにもかかわらず、だ。 「まあ、自業自得ですわね」 「マスター…そんなことではダメですよ」 「パパ怒られてる~~」 「最後の1個、でかいのをとっておいたのに…orz」 こんな感じで昼食を済ませ、次の日まで試合は無いのでその日のうちは会場をぶらついたりしていたわけだが… いろいろお店があって楽しめたりしつつ、俺の小遣いが順調に減っていたのはいうまでも無かった。 ==== 翌日 とりあえず昨日飲んだワインに酔ってまだ寝ている茉莉たちは置いといて。 リンと一緒に散歩へ。 軽くホテルにくっついてる公園を周ってきた。 しかしまだ茉莉は起きないので俺は準備をすることにした。 「さて…決勝リーグとはいえ試合は昼からだから。準備するか」 「マスター?」 「リン、今日はアレをサイドに入れとくぞ。相手によっては使わざるを得ない状況も生まれるだろうから」 「ですがマスターの仕事が忙しくて調整が済んでいないのでは?」 「フッフッフッ…」 俺のなんか絵にしたらヤバイ笑みを見てリンが怯えている…この笑みは今後しないようにしよう。 「まさか完成してるんですか?」 「そのまさかだ」 「いつの間に…」 「会社でちくちくと。」 「仕事ほっぽり出してですか!!?」 「いやいや、並列処理だから問題ない」 「…全く」 「とはいえコードの編集は大変だったからな。今から最終調整するぞ。」 「今からですか??」 「大丈夫だ、装備は完璧。」 俺が鞄から取り出すはB5サイズモバイルノートとおなじみトレーニングマシン。 てきぱきと準備を進めていく俺に促されトレーニングマシンに接続するリン、しかしそこで俺の持ってきたPCが以前と違うことに気がついたらしい。 「マスターってこんなにいいPC持ってましたっけ?」 「いや、会社での支給品だ。」 「いいんですか?勝手に持ち出して」 「大丈夫だ、許可は取ってあるし神姫のデータも必要だからな。なにより最新のCPUが載ってて作業が早い早い」 「ならいいんですが。じゃあ始めますね。どのパターンでやればいいんですか?」 「うーん、とりあえず基本のパターンE、F、Gあたりで軽くやってみてくれ。」 「はい…データ展開が段違いには早い?」 「当たり前だな、ウチのPCはCPUが3世代ぐらい前ので他のパーツの延命処理で使ってたから」 「そんなに古かったんですか…」 「いや、処理が"多少"遅いだけで他には支障なんて無かったし。現にトレーニングの感覚は変わらないだろう??」 「はい、データ展開に関しては実感できましたがこっちはそれほどの差は無いです」 「トレーニング自体の処理はボロCPUでも大丈夫なレベルなのが幸いだった」 「ですね、ただデータ展開にかかる1分間はCPUが遅かったからなんですね…」 「…スマン」 「いえ、いいですよ。これからは基本的にこのPCでできるんですよね??」 「そうだな。データは全部暗号化されてるしネットには繋がないからデータ流出も無い、セキュリティはほぼ完璧だ」 「っと、パターン全部終了しました。」 「どうだった? 2週間前の仮データに比べてかなりレスポンスが上がってると思うんだが」 「…すこし右腕の反応が鈍く感じます」 「くっそ~そうか…がんばったんだけどなあ」 「いや、あくまで理想からってだけで、コンマ3秒ほどしか実践と違いませんよ」 「フォローしてくれるのはうれしいんだが、過去のデータから完璧だと思ったパラメータだったんだよ」 「マスターのせいじゃありませんよ、私の調子がほんの少しマスターの設定と違ってただけですし」 「しかしなあ…」 「もう、昨日からマスターは少し臆病です。」 そうしてリンはトレーニングマシンから身を乗りだして… "ちゅ" 「これで大丈夫ですよね?マスター」 いつもの笑顔を向けてくれた。 「ああ…もう大丈夫だ、ありがとうリン。」 「…はい、マスター」 「…朝からちちくりあってますの?お姉さまにご主人様?」 「「っぶ!!」」 とティアの登場で2人の雰囲気が良くなったがこのまま進展するわけも無く、一緒に起きてきた茉莉と花憐にわめかれ叫ばれしつつ調整を続け朝は過ぎていった。調整の結果は…ぶっつけ本番で見るしかなさそうだ。 そして決勝リーグの幕が上がる。 決勝リーグだけにそうそうたるメンバーだった。 各ランクで有名な神姫が名を連ね、中でもリーグ初期からトップレベルリーグに君臨したにもかかわらず最近は全く公式戦に参加しなかったが実力は折り紙つきの悪魔型『鋼帝』ジルがいることが衝撃だった。 しかも茉莉たちよりもさらに年下。今で高校生ぐらいだろうか?という年齢の少女がオーナーということで衝撃を受けたものだ。 その"ジル"が出場しているとは知らなかったためにそこで初めて彼女とそのオーナーに会ったのだが…ぶっちゃけ可愛かった。 まさに可憐ともいえる容姿で神姫のジルの戦い方からは想像できなかった。 あれならファンも多いのもうなづけると感じた次第だ。聞けば彼女も「エルゴ」の常連らしい…見たこと無いんだけどな~ …とそういうことにうつつを抜かすとまたリンと茉莉にどやされるので抑えて抑えて…試合のことだけを考えよう。 そう気を引き締めた数秒後、対戦相手が発表された。 相手は…ミカエル。 あの鶴畑兄弟の次男にして、兄弟内でも一番タチが悪い。 今までの装備の傾向-高機動装備による遠距離からの超大出力の砲撃、そして鉄壁の防御-からして、悪魔型の通常装備では全く歯が立たない相手だ。 やっぱりアレを装備パターンに加え、最後の最後まで調整を加えたのは正解だったらしい。 「ミカエル…鶴畑家の神姫、その中でも八百長を行ってまでランクを上げているオーナーの神姫…実力の差があろうとも負けられないです。マスター、突撃装備…使ってもいいですか?」 俺に聞いてくるリンにはいつも以上に気迫が感じられる。 それを見た俺も覚悟を決めなければいけない。 即ち、防御を取っ払っての突撃装備をリンに使わせる覚悟を…だ。 「分かった…使おう。 ただ最初からアレを使っても自滅するのがオチだ。使う場面は…わかってるよな?」 「はい、マスターと私がいつも練習してるあの場面ですね?」 「分かってるなら大丈夫だな。試合まで時間があるし、安心してクレイドルで寝ておけばいい。」 「はい…マスター??」 「うん?」 「おやすみのキス…くれませんか? してもらえれば絶対に安心できるので」 「ああ」 そうして軽く口づけを交わしてリンを眠りに付かせた。 俺は試合までの2時間、死ぬ気で突撃武装のチューニングをしなければならない。 試合前にそこまで必死な顔はリンに見せたくなかった。 そして2時間後、俺とリンが臨む試合まで10分を切った。 あとはやるだけ。 俺はリンを肩に乗せ、ステージへと歩き出した。 ~鳳凰杯篇その2?~
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1321.html
旅立ちて、待つは永き野の松が本 窓の外を流れていく防音壁と、その隙間に見える風景。格別な物がある。 そう……これは高速自動車道を走る、電気駆動バスからの光景なのだな。 即ちコレを見ている私・槇野晶は、車に揺られて小旅行の途上にあるッ! 「あ、マイスター!お山が見えますの、お山!おっきぃですの~……♪」 「何処までも続く田圃も、澄んだ秋の空も、東京じゃ見ない景色ですね」 「……どうでもいいけど皆、周りのお客さんも考えないとダメなんだよ」 「クララの言う通り……なのだが!この光景はいつでも心躍るな、有無」 無論私が、可愛い“妹”達を残して旅立つ訳はない。三連休が続くのを 良い事にその内の一週分、我が侭を言って臨時休業とさせてもらった! そして神姫バトル用の装備と私達“四人の”旅装を携え、東京を出た。 無論、これには理由がある。そう、あれは先週の……とあるメールだ。 『拝啓。晶ちゃんがセカンドに昇格したと、さっきサイトで見ました。 どうせ貴女の事だし、ろくすっぽ夏休みなんて物はないんでしょう? だから、地元に招待します。武装と“妹”達を連れて来てください。 セカンドになった晶ちゃんと、手合わせしたいのですよ? 碓氷灯』 慇懃無礼というか何というか、これは果たし状ではないかと半ば呆れる。 だが従姉たる灯めが言う通り、本格的な休暇・旅行は余り多くなかった。 それに、セカンドに昇格した褒美もまだまだ足りないと思っていた所だ。 灯めが前回の敗北から何を得たか、それを見極めたいという意図もある。 「……というわけで思い切って旅に行こうと思うのだが、どうかッ」 「大掛かりな旅行、初めてです……いいんですかマイスターっ!?」 「構わぬ。お前達の見聞を広める事にも繋がるだろう?場所は──」 「松本市?あそこは、高原リゾートの玄関口にもなってる場所だよ」 「それに、バトルフィールド設置の神姫センターもありますの~♪」 東京……ひいき目に言っても首都圏を出た事のない彼女らは、私の提案に 目を輝かせた。私とても、歩姉さんを喪ってからはついぞ訪れていない。 城下町や音楽祭等“文化の街”として、年に一度は地名を聞くのだがな? “山奥”と馬鹿にしてはいるが、決して悪い所ではないとも思っている。 ともあれ従姉の思いも寄らぬ“提案”に私達は皆、心を奪われたのだな。 「よし、そうと決まれば準備は色々あるぞ。お前達の服も必要だろう!」 「それにお店の臨時休業に伴った取引とかも、色々必要になるんだよ?」 「じゃあわたしがそれの電子処理をしますの♪アルマお姉ちゃんは……」 「あ、えと……持ってく物の準備とか名物の調査します!お料理とか!」 そうこうしている内にトントン拍子で準備は進んだ。受注していた品物を 突貫工事で片付けて引き渡し、休業告知もHPと店頭に張り出した。更に 高速バスのチケットも、電子決済で予約する。静音性に優れた電気バスは この時代、電車と並び遠距離移動や行楽には欠かせぬ移動ツールである! 特急列車でもよかったのだが、嗜好と予算の問題で今回はバスを選んだ。 「神姫用秋物衣装のサンプルがある、これをアレンジして着せるか……」 「マイスター、チケット取れたんだよ。後、一応塾にも欠席の電話完了」 「お店の諸々に関する手配も終わりましたの~……アルマお姉ちゃん?」 「……このお蕎麦、美味しそうですねぇ……はっ!?す、すみませんっ」 「皆はしゃいでいるな……出立は来週末の朝だ、じっくりと準備しよう」 『はいっ!』 と言っても浮かれていたのは私も同じで、休み無しで“妹”達の服…… 長袖と少々深めの色を用いた、シックな秋らしい姿……を用意したり、 気合いを入れすぎて客の要望以上の品をチューンしてしまったりした。 だが致命的なミスはない。要所は締めるのが“マイスター(職人)”だ! そうして私達は今日、新宿のバスターミナルから旅立った訳だ。有無。 「わぁ……マイスター、広い盆地だよ。これが松本平、だったかな?」 「有無。四方を山に囲まれた、天然の要衝だ……ここも十分な高地!」 「南極が爆発したら、第二の東京都になれたかもしれないですの~♪」 「……ろ、ロッテちゃん。それはちょっと古いしマニアックですよ?」 何処でそんな古いアニメ映画の情報を仕入れてくるのだ、ロッテは……? ともあれ電気バスは盆地の中央へと滑り降り、そのまま市街地へ向かう。 運転手のアナウンスが、市街中央部のバスターミナルへ入る事を告げる。 確か灯めとの待ち合わせは、そこの地下にあるハンバーガー屋の筈だな。 「よし、降りる準備をするぞ皆。灯めを何時までも待たせる訳にはな?」 「はいですの~♪マイスター、わたし達の装備ってどれも無事ですの?」 「有無。電気バスの電磁波なり何なりを考え、手荷物として持っている」 「あ。乗車時、カートからバッグを切り離したのはそれだったんですね」 「それなら一安心なんだよ……座席が安全でも貨物室は分からないもん」 “EL DoLL”の収まったバッグと己のポシェットを掲げてみせ、皆を肩に 招き寄せる。市街地の渋滞も東京等とは比較にならず、バスはあっさりと ターミナルに吸い込まれていった。私達は促されるまま、バスを降りる。 「……ふぅ。街とは言え、流石高地の空気は違うな。澄んでいて染みる」 「ここからだとよく見えないですけど、空もとっても綺麗でしたしね♪」 「ところで、灯さんは一体何処ですの~?ここの地下にいるんですの?」 「ハンバーガー屋は、バス会社のフロント近くらしいんだよ……行こっ」 異郷の自然に感動する間もなく、私は階段を下りて地下へと赴く。そこは 地方デパートの食品売場であり、ハンバーガー屋はその隅に佇んでいた。 そしてその奥に見たのだ……サングラスを掛けて辺りをうかがいながら、 トマトバーガーを頬張る幼女の姿を。私は自分達の注文を澄ませて……。 「……貴様は、地元でもその格好なのか?顔を上げぬか、碓氷灯ッ!」 「わひゃっ!?あ、晶ちゃん声が大きいんですなっ。座って座ってっ」 ──────愉快な従姉。何を見せてくれるのかな? 次に進む/メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/177.html
著 SSS氏(幸せな神姫を戦場に立たせる会) ストーリー一覧 SSS第1話 SSS第2話 蒼い犬物語 狐狩り アルファ ご感想、ご要望やリクエストなどは、こちらへ 名前 コメント すべてのコメントを見る 今日 - 昨日 - 総合 -
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/451.html
戦うことを忘れた武装神姫 その10 ・・・その9の続き・・・ 「両者、神姫をフィールドにセットして下さい。」 ジャッジマシンの音声に従い、久遠はフィールドに歩み寄る。 M町の筐体は、立体フィールドが実際に構築される最新型のCMU-381型。広がるは・・・人間サイズのキッチン。にやり口元に笑みを浮かべる久遠。 「こりゃ初戦は・・・エルガで決まりだな。」 神姫達も異論なし。 「じゃぁ、頼むぞ。」 「にゃーん! まーかせてー!!」 エルガと、各種装備・得物のつまった箱をフィールドの指定箇所にセット。対するサイトウは、2体分の装備を組み合わせた白子をセット。 「両者、準備はよろしいですか? では、フィールドを閉じます。」 フィールドバリアがおろされる。 久遠たちは、モニター席に移動。ここからは指示を出すことも可能で、待機神姫用のクレイドルもある。。。 「それでは、本日の第1試合・猫爪『エルガ』VSアーンヴァル『アスタ』、試合開始いたします。」 静まり返るギャラリー。フィールドでは、にらみ合うエルガとアスタ。 「Ready-・・・ GO!!!」 試合開始。 キッチンフィールドは最近追加されたもののようで、サイトウの白子・アスタもやや不慣れな様子。 接近が困難と判断したのだろうか、アスタはセットポイントから斜め上後方へ移動した。さすが過剰なほどの重装とだけあり、上昇速度も相当速い。間合いを取りつつ、フィールドの全体を確認する- 、遠距離を得意とする白子のセオリー通りの戦い方・・・ ・・・なのだが。 「にゃっはー!!!」 アスタの上昇速度を上回る勢いで、床から飛びかかるエルガ。 「な、なにっ!」 「そーれっ!!」 あっという間に追いつくとヤンチャオを振りかざす。慌てるアスタ、サイドバーニアを全開にしなんとか避ける。 「ありょ? ・・・おーーー!!!」 一方の避けられたエルガは、戸棚に向かって一直線・・・かと思いきや。 「あらよーっとなのですよー!」 ヤンチャオを器用シンクの突起に引っかけ、クルリと向きを変える。 勢いそのままに、姿勢がまだ整え切れていないアスタへ向けて突撃。 どうやらアスタは、装備が大きすぎるためすばやい動きが出来ないらしい。 『アスタ!上から来るぞ! 撃て、撃つんだ!』 叫ぶサイトウ、しかし、銃をかまえる前にエルガが追いつき-。 「おくさーん! 今日の晩ご飯は何ですかー!!!」 エルガが取り出したるは、なんとしゃもじ。 両手で持つしゃもじを一気に振り下ろす。 斜め後方からの強烈な一撃。 「ぐはっ!!」 アスタはシンクのカドにたたきつけられ、ブースター1基破損。補助翼にも大きな損傷を受けることになる。 「『とつげきしゃもじ』が決まったな・・・。」 モニターで観戦する久遠が、ぼそっと呟いた。この技、エルガと久遠が調理中に、つまみ食いをして逃走を図るリゼを仕留めるためにエルガが編み出した技。。。 「い、いたそー・・・」 と、リゼ。・・・しょっちゅうこの技を食らってる為であろうか、その痛みを想像し、顔を思わずしかめる。。。 幸いにも、アスタは下に落ちることなくシンクの上へと転がった。バーニアと損傷した補助翼をすぐに捨て、LC3がベースと思われる長銃を構えた。 「set・・・ファイア!」 床に降り立ち、テーブルに登ろうとこそこそ走り回るエルガに狙いを定め、LC3とは思えぬ速射で打ちまくる。 しかし。 「ほーいほいのほいさっさー。」 軽快かつ挑発的なステップで、エルガは弾を避ける。 「くっ・・・何故そこまで速く動けるっ!!」 「にゃっにゃんにゃー。 それは企業秘密なのでーす。」 「なぜ、何故だっ!!」 実際、エルガの足は、久遠の神姫の中で最も速い。だが、、弾が当たらない理由は別にあった。 「あいつ・・・戦闘の基本わかってんじゃねぇか。。。」 サイトウはエルガの動きにうめいていた。 エルガは、アスタが撃ち始めた瞬間から、死角となる位置を選んで走っているのはもちろん、どんな床面であっても一切飛び上がらずにいたのだ。 飛び上がった瞬間は、飛行装置を装備しない神姫にとってはもっとも無防備な瞬間のひとつでもある。それをエルガは、本能的に知っていたのだ。 その様子に、久遠はここでようやくCTaの言っていたこと -戦うことを忘れていても、戦いを忘れてはいない- を、理解した。 「なるほどね。。。 うん、うん。。。 となると・・・。」 こいつらなら、勝てる。 『エルガ、竹串だっ!! 右にあるぞっ!』 久遠は通信用マイクを掴んでエルガに声をかけた。 「にゃにゃ? ・・・あっ! わかったのですー、にゃーさん!」 降り注ぐ弾を避けつつ落ちていた竹串を拾い上げると、アスタめがけて投げつけた。 「甘い、甘い!!」 さっさっと、鮮やかに竹串を避けるアスタ。だが反撃されているということは、攻撃方法を読まれている裏返しでもある・・・そう感じたアスタは、弾種を速射から高エネルギー弾に変更し、改めて狙いを定めた。 「これなら・・・仕留められる!」 エルガが身を隠すイス全体が消滅するレベルにセットし、引き金を- 『あっ!!! アスタ! 撃つな!!!』 叫ぶサイトウ。しかし、遅かった。 引き金が引かれた瞬間。 LC3改、爆発。 爆風でとばされ、食卓の上にどさりと落ちるアスタ。装備はボロボロ。 LC3改の銃口に竹串が深々と刺さっていたのである。長銃であるが故の死角となっている真っ正面から、見事な投擲で竹串を突っ込んだエルガ。。。 「串カツと焼き鳥の作り方教えて置いて良かったよ。」 「ま、マスター、これは違うと思うんですが・・・。」 モニターを見ながらほっと胸をなで下ろす久遠に、イオが突っ込みを入れる。 「ちっ・・・。 アスタ、9Xを使え! 早くしろ!上がって来るぞ!!」 一方のサイトウは、舌打ちをしつつアスタに指示を出し続ける。だが相当のダメージを受けたようで、なかなか立ち上がらない。そうこうしているうちに、エルガもテーブルに上がってきた。 「こ、こんな情けない試合になるとは・・・っ!」 立ち上がるアスタ、手には自動小銃・・・ 「ほいさっ!」 を取り出したと同時に、エルガは再び竹串を投げ、すっぽりと銃口に。 「な、ななな?!」 自動小銃を捨て、ハンドガンを取り出す・・・と今度は爪楊枝。出す銃出す銃に、エルガ次々に竹串、爪楊枝を差し込み、使用不能としてしまった。 「にぇっへっへ・・・ もうおしまいですかぁ?」 取り出す銃が無くなった頃、アスタはテーブルの隅に追いつめられていた。背中の羽根はすでに使用に耐えられない。最後に残された、黒子の武器でもある剣を取り出した。 「そんなもんは怖くないのですよ。 でざいんないふって知ってるかにゃ? あれはもっと怖いんだよー。」 どうやら以前、シンメイに脅迫されたときのことを言っているようである。 久遠も脅迫された、あのエンゼルパイ事件のこと。。。 エルガにとってもトラウマとなっている様子。。。 「ほんとーに怖いモノって何かを、にゃー教えてあげましょうかぁ?」 妙な目つきで、にじり寄るエルガの手には・・・SUS製のおたま。 「そぉれっ!!!」 かぁん!!! 剣よりもリーチが長いため、余裕の攻撃。剣をいざ投げんと構えた格好のまま、白目をむいて・・・ アスタは倒れた。 「アスタ、戦闘不能。 勝者、猫爪・エルガ!!!」 ジャッジメカが勝負の終わりを告げた。 エルガの勝利に、ギャラリーは大きな歓声を上げた。 ・・・>続くっ!!>・・・ <その9 へ戻る< >その11 へ進む> <<トップ へ戻る<<